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折り紙困難問題

ちょっと前に、小松さんから
「A-君はその内折り紙を折らないで、色々評論するようになるんじゃない?」
と言われ、いやいや折るぜぇ超折るぜぇ、と息巻いたものです。

息巻いたものでした。

しかし、その読みはなんと妥当だったことでしょう。





本当に折り紙の写真を一枚も上げずに書くことになるとは。

でもやはり備忘録程度には今思ってることくらい書いておかなければ。
折り紙で最近思ってることは、いつ頃か、ついに僕の頭で認識できる範疇を越したのが目に見えるレベルになったということだ。
僕の中に存在する折り紙の範疇は、例えば日本人創作家だとこれくらい、海外だとこれくらい、というふうに一定の速度の中にあった。

だからベトナムショックみたいなのは(内容の素晴らしさはさておき)「ああ、またか」という感想に過ぎなかった。

ところが僕が松井さんや今井さんという存在を知ったときの衝撃は無かった。
僕は漢字をデザインする時もそうだけど、まずは一切の違和感を無くすところから考える。
だから、実際に計測するとおかしなところがあっても問題ないと評価する方なんだけど、
松井さんが持ってきた「映画女優」(これはまだ理解できた)だとか、「舞妓」だとか、もう僕が理想とするところの折り紙と一致する。
めちゃくちゃ一致する。
それは明らかに、懐かしい所から知らない方に伸びた枝、系譜だった。
そして同じ日本の中だった。
もっとよく見たら、新たないろんな人に衝撃を受けた。
その一人が今井さん。「タガメ」とかもうそのままニスでも塗って水中に入れたい。

その時になってようやく曇った目を研き直して見たら、あれだった。
かつてアインシュタインも言った(ハズの)「今は部分を知る人ばかりで全体が見えていない」という傲慢な言葉がある。博学で無いからインパクトの弱いことしか出来ないという科学者に対する揶揄だけれど、それこそ時代の趨勢を何も見れていない言葉だった。
物事は細分化されすぎて、個人の内側に総ての事象が納まるような時代ではなくなっていた。同じ学会でも隣の部屋では何を話しているのかわからない時代になっている。
しかしそこからも世界を揺るがす発見はあった。

単純に物事の進行速度が速くなって、誰かの頭の中に納まらなくなっただけの話だった。
それが傍目には部分しか見えていないように見えただけだった。
そういう、進歩の速度がどんどん速くなっている時代。

それは折り紙界でも例外ではなく、やはりもう、そういう時代なんだと、僕は降参した。
僕にとって折り紙は困難問題になった。

nhさんが「湯船に30分以上浸かっていると、決まってしょうもないことばっかり考える」の中で
「もう折り紙はなんでも折れるのだ。だからより今までとは違う表現を求める。いわゆる折り紙的な表現・技法に回帰していく。ここで要求されるのが折り紙的なセンスだ。思うにこのセンスとは、「対象を無理なく折り紙表現の中へ落とし込み、造形に移し替える感覚」なのではないか。でしゃばってはいけないのだ。折り紙ができうる範囲を正確に見極め、その中で最良の選択をする。精緻だけど、あくまで折り紙。」
と現代折り紙を見て、しかし
「折らんとした対象を折れたという喜びは、もうそこにはない。対象が折れるのは当たり前で、視点は対象をいかに折り表現で解体したかに向けられる。」
と評価した。
けれど僕は逆だと思う。というのも現代科学でもそうだけれど、職業としての解析者と職業としての科学者という二極化している。
ここで解析者はパズルのように科学を道具として取り扱う。
対して科学者は、そのパズルを敬愛する。
そして解析者に敬愛するパズルの使い方、解き方を大雑把に説明し、改良してもらう。
世間では解析者にタスクを放り込んで、でてきた出来高を速度で表して利用する、と。

この関係においてnhさんは現代折り紙が解析者の手の中にあるように思えて、表現の道具としての折り紙に「あまりに不幸な断絶がそこには生まれていないだろうか。」と書いたのではないかと、僕は思っている。

けれど、やはり僕は逆だと思う。
どうにも説明しづらいことで、上手い言葉が出てこないのだけれど、僕は毎年どこかからフッと幸福が舞い降りてくるような気がしてならない。
その瞬間、その人は実に科学者的に<対象>を折りあげたのではないだろうか、と僕は羨ましがる。

だから僕は自分の作品である「セイウチ」が嫌い、というか納得がいかない。
次が出来なきゃ、僕が最高に幸福だったのは「セイウチ」が出来た瞬間になってしまうじゃないか。
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